臨床美術の魅力

今日ふと、7年近く前の出来事を思い出しました。

 

臨床美術士の養成講座に通っていた頃、受講の感想をSNSでアップしていました。

それを読まれた方から、ある日メッセージをいただきました。

ご家族が認知症になり、なにかできないかと調べていて、

臨床美術を知ったが、効果があるのか、という質問。

 

どう答えるか悩みましたが、

これで治る、というものではないが、取り組んだ方が楽しまれること、

その方を取り巻く環境を改善していくことはできると思う、と答えました。

子どもの頃、自分の祖母が認知症だったが、もしその時に臨床美術を知っていたら、

もっとなにか違ったかもと思うことはある、と。

 

今思い返しても、その時はそれが精一杯の答えだったなあと思います。

私は医師ではないので、治るかどうかを問われても、

それを求める方へ納得していただけるような答えをお伝えすることはできないと感じていました。

研究報告で、認知症状の改善や進行抑制の効果の検証をされた数値もあります。

でも、臨床美術の効果はそれだけではありません。

 

意識の持ち方やコミュニケーションの問題を改善し、

関わる人同士、お互いの今の姿を受け入れて、共によろこびや感動をわかちあえること。

これが私が感じている臨床美術の魅力です。

 

認知症の方に限らず、難しい状況の中にある時には、

前向きに意識を持てること、人同士の関係性が築けることが大事だと思うのです。

そうなるには、なんらかのきっかけが必要で、

臨床美術は、そのきっかけをつくれるものとして、意義があると感じています。